きょうは、なに聴く?vol.13

自由が丘でcafeイカニカを営む、元音楽プロデューサーの平井康二氏による連載。音楽もまた、出会うもの。

きょうの曲:Don't Let It Go To Your Head/The Brand New Heavies

 僕は、自分の頭蓋骨のレントゲン写真を持っている。正面のと横からの二枚。ちょっとした自慢だ。自分の頭蓋骨のレントゲン写真を持っている奴なんてなかなかいないはず。それ以前に、頭蓋骨のレントゲン写真を撮る機会なんて基本ない。

 なぜ持っているか、というと、僕の眉毛の上、おでこまでいかないあたりに軟骨の突起があって、随分前にそれが気になって病院に行ったのです。最初に行った町医者で、とりあえずレントゲン写真を撮ったのだけれど、そこでは判断がつかず、脳外科の専門医のところにそのレントゲン写真を自分で持って行って、見てもらいなさいと言われ二枚の写真を持たされた。結局、専門の先生からは異常なしと言われ、レントゲン写真ごとあっけなく帰された。異常のない患者(正確にはもはや患者ではない)のレントゲン写真なんて医者だっていらないだろうから、まぁ、そういうことになるのか、と思ってはみたものの、僕だって頭蓋骨のレントゲン写真なんてどうしたらいいのか、わからない。茶封筒に入れたまま何年も放置していた。

 しかし、この前『BONE MUSIC』という展示を知って、驚いた。レントゲン写真にレコードの溝を掘ってレコードがわりにしているのだ。(BONE MUSICの詳細については、こちらでhttp://www.bonemusic.jp)僕も出来る!と思った。二枚も頭蓋骨のレントゲン写真を持っている、これにレコードの溝をカッティングすればいいのだと。どこかのタイミングでやってみたい。では、何をカッティングするかだ。悩む。自分の頭蓋骨に刻む音楽だ。考えた末に、良いのを見つけた、Don't Let It Go To Your Head。Headだ、うってつけではないかと。歌詞の内容も良い。調子に乗るなよ〜うぬぼれるなよ〜、って頭蓋骨に刻まれる感じ。とりあえず、今、そのレントゲン写真は、バックライトを浴びてオブジェとして部屋に飾ってあるのだけれど、事情を知らないでそれだけ見たら、ちょっとヤバい感じだと思う、猟奇的でもある。けど、自分の頭だと思うとやはり、愛おしく可愛く思えるから不思議だ。我ながら、てっぺんの辺りなんか綺麗な弧を描いているなぁ、と思う。興味がある方はお見せしますよ。多分、見たら自分のも見たくなると思います。でも、頭蓋骨のレントゲン写真って簡単に撮ってくれるのでしょうか?ちょっとハードル高そう。

Don't Let It Go To Your Head/The Brand New Heavies


平井康二(cafeイカニカ オーナー)

1967年生まれ。レコード会社、音楽プロダクション、音楽出版社、自主レーベル主宰など、約20年に渡り、音楽業界にて仕事をする。2009年、cafeイカニカをオープン。現在に至る。

http://www.ikanika.com/cafe/top/

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