「GOTTA」では、「旅するゴッタ」と題し、人が集う場所を提案する活動をしています。その中心の一つがカレーです。そもそも何でカレーなの? どうやって作っているの? について、綴っていきます。
vol.2 なんでカレーなの?の前に、父のこと②
ひょんなことから、カレーを習いに行くことになった父。
向かった先は、現在は残念ながら閉店してしまったという、
四谷にある「エンジュ」というカレー店だったそうです。
年老いたおかあさんが切り盛りしている店で、
父がおもむろに「カレーの作り方を教えてほしい」というと、
厨房で使っているスパイスを、惜しげもなく、ずらり、見せてくれたらしい。
そして、カレー作りの基本を教えてくれたという。
スープをとって、野菜やフルーツでジュースを作って、
玉ねぎを炒めスパイスを入れて、そこにスープとジュースを入れて。
基本公式はわかった。
そこから独自の数式を作るべく、すべてのスパイス、素材をバラバラにして、
今度は「うまい」と思うカレーを探す実験が始まったそうだ。
父曰く、一番の難点は「うまさ」とは何か、ということ。
そこで悩める父が読んだ本の数々を見ていると、
カレー作りとはまた違う迷宮に入っていったことがうかがえる。
『コクと旨味の秘密』『たべもの歳時記』「美味礼賛』……
「うまい」はお客が決めること。
とはいえ、一皿を決めるのは自分。
レシピは企業秘密なので割愛するが、父のノートを見ていると、苦悩と努力がうかがえる。
店のオープン初日、メニューにはまざあぐうすカレー1号とあった。
日刊「まざあぐうす」ではないが、毎日カレーは変わりますという宣言であった。
大変、父らしい。
今はもちろん、そのナンバリングはない。
そして私は父の着地点からのスタートをさせてもらうこととなった。
ー続きますー
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