今日、今、ひとつ。
今たべるものが明日のわたしをつくるもと。自分の心と身体にきいてみて、今日のひとつを選んでみる。ねえ、わたし。何たべたい?
その問いに薬膳の観点から答えます。
身体のめぐりには“プチプチ”
〜今日のわたしの声〜
目のまわりの小さいイボが気づいたら一つ増えていていました。触るのも良くないとは分かっているけれど気になって気になって、塗り薬を調べたりもしていたのに……。最近は以前よりもあまり動かない生活なので、むくみが取れないことも多く、体質のことも何となく心配なんです。
■今日のテーマは「身体をめぐらす」
イボや皮膚の荒れはめぐりが悪くなっていることがひとつの要因。この症状にはヨクイニン=はと麦を煎じて服用します。ヨクイニンは第三類医薬品で漢方薬局などで購入できる生薬です。煮詰めた液体を食前か食間に飲みますが、煮だした後のはと麦は溶けたりせずプチプチした食感を楽しめますので、他の食材と合わせて食事の一品にしてみるのも。
身体の中の水のめぐりが適切でない体質を”水滞”と呼びます。はと麦は水分代謝を促してむくみをとり、身体の中の余分な熱もとり吹き出物やシミを解消する働きがあります。
また冬から春へ季節の変わり目には肝の養生が大切だと薬膳では先人の教えを受け継いでいます。肝機能によいタコと一緒に、爽やかなサラダに。
〜わたしへのごはん〜
はと麦とタコのマリネサラダ
春に出回る新玉ねぎをプラスして洋風酢の物に。マリネ液の甘味をはちみつにすることで微量ながらビタミンB群やミネラルも摂取でき、カロリーもダウンできます。アカシアはクセがなく結晶しにくいので料理に使いやすいはちみつです。りんご酢の優しい酸味で食べやすいマリネ液になります。
〈材料:二人分〉
茹で真タコ150g はと麦10g 新玉ねぎ1/4個 [マリネ液/塩2つまみ アカシアはちみつ大さじ1 りんご酢大さじ2 オリーブオイル大さじ3 胡椒お好みで]
〈作り方〉
1.はと麦は水で洗って、たっぷりの水に1時間ほど浸けておく。
2.鍋に1の水を新しく替えてはと麦の4倍くらいの水で強火にして煮る。沸騰したら弱火にして30分ほど芯がなくなるまで煮る。粗熱をとる。
3.タコは食べやすい大きさに薄切りにする。
4.新玉ねぎは薄く切り、辛味が強い場合は水にさらし水分を拭く。
5.マリネ液の材料のオリーブオイル以外をすべてボールにいれよく混ぜる。
6.5にオリーブオイルを加え泡立て器で白っぽくなるまでよく混ぜる。
7.6にはと麦、タコ、新玉ねぎを入れよく和える。
8.7を冷蔵庫で1時間ほど味をなじませる。
肌代謝の薬:水の滞りにはヨクイニン
煮ても大きさはほぼ変わらないはと麦。サラダやスープ、煮込み料理に加えて、水分代謝アップを日々の食事に取り入れてみましょう。多めに茹で、粗熱をとり小分けにして冷凍しておくと思い立ったら使えるので便利です。食べ過ぎると身体を冷やすので加減して。
イボや皮膚の荒れがひどい場合は、薬剤師がいる店舗で漢方相談をしてみてください。
季節の変わり目の薬:肝にタコ
陰から陽へ。冬ごもりから芽吹きへの移行は、身体も心も寒暖の変化に乱れがちになります。春は活発に動きだす肝を強化する高タンパクでアミノ酸が豊富な食材を積極的に食べたい季節です。タコはうってつけの食材。刺身や酢の物、マリネなど味を変えて食卓に。
わたしを整える食のアドバイザー
河村千影さん
はちみつ料理研究家。一般社団法人日本はちみつマイスター協会副理事長。漢方スタイリスト。養生薬膳アドバイザー。ただ甘いだけじゃないはちみつの味わいや活用法、その健康や美容への効果などを協会主催の講座やワークショップ、薬膳料理教室、カルチャーセンターで教えている。はちみつと薬膳をかけ合わせた料理を提案。
レシピ掲載『aromatopia』No156(フレグランスジャーナル社)『リンネル』2020年5月、6月号(宝島社)
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